2013年11月5日火曜日

東平の神木「末広大明神」

私、御神木を解体する現場を初めて見ました・・・。
中央区の東平と上汐の間を走る道があります。
熊野街道の一本東隣の道です。
そこには道路の真ん中に枯れ木が鎮座しておりました。

鎮座しておりましたと過去形なのは、本日、その木が根こそぎ掘り返され潰されていたからです。
朝、出勤時に近くを通った際、作業員の方々が御神木の周囲で作業をされていたので、剪定の準備かな~とあまり気にも留めませんでした。
ちょっと元気の良い根元の木の枝が道路にはみ出していたので、車の通行に支障があるかなと以前から感じていた事もあり、その枝だけを切るものだと勝手に解釈していました。
ところが、夕方その道を通ったところ、御神木も碑も跡形無く消えておりました・・・。

その木の根元には「末広大明神」と刻まれた碑が建っておりました。
神として祭られた御神木だったのです。

大阪大空襲で焼けたイチョウの枯れ木だったとのこと。
戦災のモニュメントでもあったわけです。

このような道に残る神々の木は大阪市内にところどころあるそうです。
こちらの「末広大明神」からほんの目と鼻の先、直線距離で150mくらいの道路上にも御神木があ
ります。

谷町7丁目の交差点を東に入ってすぐ。
本当に道のど真ん中です。

こちらの御神木は「楠木大明神」と呼ばれ、地元では「谷町のクスノキさん」とも呼ばれているそうです。
この地には元々本照寺というお寺があり、この御神木はその境内に立っていたとのこと。
昭和12年に本照寺は移転してしまったのですが、この木だけは大阪で信仰されている巳さん(「みいさん」:蛇)が棲むとされ、切り倒すことによる祟りを恐れて道路の真ん中に残る事になったそうです。

こちらの御神木も残念ながら枯れてしまい、正確にはその切り株が「楠木大明神」なのです。
この道は「楠木筋」とも呼ばれており、その道に面して建つマンションの名前にも楠木が使われています。

いつもそこにあるものが無くなると形容しがたい物悲しさのような感情が沸くものですね。
「末広大明神」がそこにあるうちに、その歴史を調べておけば良かったと後悔しています。
ここ4~5年でしょうか、この東平と上汐の境は、民家や会社ビルなどがパタパタと取り壊され、投資マンションが一気に増えた気がします。
勝手な想像ですが、「末広大明神」を守り続けていた方がこの地を離れてしまい、守をする人手が無くなったのかも知れませんね。
信仰が無くなれば、神も存在しえなくなるのでしょうか。
古き良きものと新しい芽吹きが同時に存在する事は、なかなか難しいようです。

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